ABSTRACT W07-5(W07)
HTLV-I Taxトランスジェニックラットを用いたATL及びHTLV-I関連疾患の発症機構の解析:吉木 敬(北大・医・第1病理)
Pathogenetic analyses of ATL and HTLV-I related diseases by HTLV-I Tax transgenic rats : Takashi YOSHIKI (Dept of Pathology, Hokkaido Univ. Sch. Med.)
成人T細胞白血病 (ATL) はHTLV-Iが原因となり引き起こされる末梢Tリンパ球性の白血病リンパ腫である。HTLV-Iはヒトにおいて疾患を起こすことが初めて証明されたレトロウイルスであり、ATLの原因ウイルスであることが明らかになったが、その発症機構は未だ明らかではない。HTLV-IはATLの外、それまで原因不明であった慢性進行性の痙性脊髄対麻痺HAM/TSPやHTLV-Iぶどう膜炎 (HTLV-I uveitis)、RAに類似した慢性関節炎 (HAAP) の原因ウイルスでもある。その外にも、T細胞性肺胞炎 (HAB) やシェーグレン症候群の一部にも病因的役割を担うという証拠が蓄積されてきている。HTLV-Iはgag, pol, envのレトロウイルスに共通する構造遺伝子の外に、envと3'LTRの間に他のレトロウイルスにはないpX遺伝子をもっている。pX遺伝子産物p40Taxは転写レベルで細胞の増殖や活性化にかかわる種々の細胞遺伝子の発現を変動させる。このp40Taxの発現はATLをはじめとするHTLV-I関連疾患の発症に深くかかわっている。これら多彩なHTLV-Iの病原性の解析には、動物モデルを用いた解析が必須である。我々は1984年にHTLV-Iによる近交系ラットCD4陽性T細胞の試験管内不死化に成功して以来、近交系ラットモデルを用いたHTLV-Iの病原性の解析を進めてきた。ここではHTLV-IpXトランスジェニックラットを用いた腫瘍性病変の解析結果を中心に提示する。