ABSTRACT W07-6(W07)
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HCVと肝発がん: 加藤宣之(国立がんセ・研・ウイルス)

HCV and hepatocarcinogenesis : Nobuyuki KATO (Virol. Div., Natl. Cancer Center Res. Inst.)

C型肝炎ウイルス(HCV)の感染により発症した肝炎の半数以上は慢性化し、肝硬変、肝がんへと病状が悪化することが分かっている。HCVは発見されてからほぼ10年が経過し、HCVゲノムの遺伝子解析やウイルス蛋白質の機能解析などにより多くの成果が得られている。慢性肝炎においては遺伝子変化が生じやすく、そして蓄積しやすい状態になっているものと考えられるが、HCVの存在がどのように肝発がんの過程に関わっているかは現時点でもほとんど分かっていない。この点に関する研究の進展を妨げている大きな原因としてはHCVを人工的に増殖させる実験系の構築が難しいことが上げられる。この現状を打開するために、我々は数年前よりヒト培養細胞を用いたHCVの複製・増殖系の開発に取り組み、HCVに感受性を示すヒトT細胞(MT-2)及び肝細胞(PH5CH)を見い出した。これらの細胞を用いたHCVの感染実験により現在までに得られた研究成果を報告する。
HCV感染により引き起こされる慢性肝炎に対する唯一の治療薬として現在インターフェロンが用いられているが、この治療を行ってもウイルスが排除されるのは約35%程度と低いことから、新たな抗HCV薬の開発が急がれている。我々はヒト肝細胞を用いたHCVの培養系をもとにして抗HCV活性の評価のできるシステムを構築し、幾つかの物質について検討した。その結果、最近、ミルク中に高濃度に含まれる抗菌タンパク質であるラクトフェリンが、HCVの細胞への感染を防御できることを見い出した。ラクトフェリンの抗HCV活性及びその防御機構に関する研究成果を報告する。