ABSTRACT W08-2(W08)
JABによるJAKチロシンキナーゼの活性制御機構:吉村昭彦,安川秀雄,三澤宏之(久留米大・分子生命研)
Regulation of JAK kinase activity by JAB:Akihiko YOSHIMURA, Hideo YASUKAWA, Hiroyuki MISAWA (Inst. Life Sci., Kurume Univ.)
サイトカインは受容体の細胞内ドメインに会合するJAKチロシンキナーゼを介して細胞内にシグナルを伝える。STATはそのシグナルを核へ伝える重要な転写因子のひとつである。一方サイトカインシグナルを負に調節するメカニズムやサイトカイン間のクロストークの分子レベルでの解明も進んできている。われわれはSTAT5の負のフィードバック調節因子であるCIS,JAKキナーゼの阻害因子であるJABをクローニング、さらにこれらを含むCISファミリーの存在を明らかにした。これらの多くはサイトカイン誘導遺伝子でありSH2ドメインを有する。特にJABおよびCIS3は直接JAKのチロシンキナーゼドメインに会合しその活性を抑制しうる。この分子機構を解明すればJAKのみならずひろくチロシンキナーゼの活性を特異的に制御する道が開かれる可能性がある。そこで我々はJABおよびCIS3の様々な変異体を作成し構造活性相関を調べた。チロシンキナーゼドメインへの会合は酵母two-hybrid法およびりん酸化ペプチドへの結合で調べた。JAKの活性抑制は293細胞を用いたLIF−STAT3系のレポーター遺伝子の活性化、および試験管内でのキナーゼ活性測定を用いた。その結果以下のようなことが明らかとなった。(1)JAB,CIS3のSH2ドメインはJAK2のkinase activation loopに存在するY1007に会合する。会合にはSH2ドメインが必須である。(2)SH2ドメインだけではJAKへの結合は弱くまたSTAT3の活性化を抑制できない。活性化抑制にはSH2ドメインに近接したアミノ酸約20個の部分が必須であり、この部分はJAB,CIS3でよく保存されている。このなかでいくつかの阻害活性に必須なアミノ酸を同定した。(3)N末端部分がないとJAKへの結合力が落ちることからJAB,CIS3はSH2ドメインとN末端部分でJAKに結合していると考えられる。以上の結果よりJAB,CIS3はSH2ドメインでキナーゼに対する特異性を決めN末端でさらにキナーゼ活性部位に結合して酵素活性を抑制するものと考えられる。現在組み換え蛋白を用いて酵素阻害の反応機構を詳細に検討しておりあわせて報告したい。