ABSTRACT W08-3(W08)
MAPキナーゼの核移行制御とがん:西田栄介(京大・理・生物物理)
Regulation of nuclear translocation of MAP kinase and its possible involvement in cell transformation:Eisuke NISHIDA(Dept. Biophys., Grad. Sch. Sci., Kyoto Univ.)
MAPキナーゼキナーゼ(MAPKK)とMAPキナーゼ(MAPK)から成るMAPキナーゼカスケードは細胞増殖制御並びに細胞がん化に重要な役割を果たすと考えられている。チロシンキナーゼ型増殖因子受容体の下流で活性化されたMAPキナーゼが核内移行し、転写因子をリン酸化することで、遺伝子発現を誘発することが示されている。我々は、MAPキナーゼカスケードの活性化が静止期細胞のS期進入と細胞形態変化(ストレスファイバー並びに接着斑の崩壊)を引き起こしうることを示した。また、MAPキナーゼの活性化が、MAPキナーゼの核内移行に必須であり、核内から核外へのMAPキナーゼの移行は、核外移行シグナル(NES)受容体依存的であることを明らかにした。さらに、MAPKKのNES配列を含むN末端フラグメントの発現が、Ras p21 による細胞形態変化と血清刺激による細胞のS期進入を抑制することを示した。これらの結果は、MAPキナーゼの核移行制御が細胞増殖の調節に深く関与することを示すものである。本ワークショップでは、上記に加えて古典的MAPキナーゼ以外のMAPキナーゼスーパーファミリーの細胞増殖制御における役割についての我々の実験結果も発表したい。