ABSTRACT W08-6(W08)
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Wntシグナル伝達系におけるAxinの役割とがん:菊池章,小山眞也,岸田昭世(広島大・医・生化)

A role of Axin in the Wnt-signaling pathway: Akira KIKUCHI,Shinya KOYAMA,Shosei KISHIDA (Dept. of Biochemistry, Hiroshima Univ. Sch. of Med.)

Wntシグナル伝達系はGSK-3β (蛋白質リン酸化酵素)やβ-catenin、Tcf (転写因子) 等の分子により構成されており、線虫から哺乳動物に至るまで種を越えて保存され、細胞の増殖や分化を制御している。本シグナル伝達系においては、Wntが細胞に作用するとGSK-3βが不活性化され、続いてβ-cateninの分解が抑制されることによりその蛋白質量が増加して、その結果β-catenin/Tcf複合体が核内に移行し、遺伝子発現を制御すると考えられている。私共はGSK-3βの機能を解析する過程で、GSK-3βに結合する二種類の蛋白質を単離した。一つはマウスやアフリカツメガエルにおいて体軸形成に抑制的に作用することが知られているAxinであった。他の一つはAxinと44%のアミノ酸が同一であることから、Axil (Axin like) と命名した。AxinはGSK-3βの他に、β-catenin、APC (癌抑制遺伝子産物) とも異なる部位で直接結合し、これらの四分子は複合体を形成した。さらに、AxinはGSK-3βによるβ-cateninのリン酸化を促進して、Wnt依存性のβ-cateninの増加を抑制した。AxilもAxinと同様にアフリカツメガエルにおいてWnt依存性の二次体軸形成を抑制した。また、生化学的性状もAxinと類似していた。したがって、AxinとAxilはファミリーを形成しており、Wntシグナル伝達系においてβ-cateninの蛋白質量を減少させることにより細胞の増殖や分化を制御する可能性がある。本ワークショップではWntシグナル伝達系におけるAxinの役割を概説して、ヒトがんにおいて報告されているAPCやβ-cateninの変異とAxinの作用機構との関連について討論したい。