ABSTRACT W09-3(W09)
上部消化器がんとStreptococcus anginosus:佐々木博己1、武藤学1、石塚朋樹1、根津雅彦1、桑原勝孝1、中西幸浩2、渡辺寛3、寺田雅昭1 (国立がんセ・研・1分子腫瘍、2病理、3国立がんセ・中央病・外科)
Infection of S. anginosus associated with esophageal cancer: Hiroki SASAKI1, Manabu MUTO1, Tomoki ISHIZUKA1, Masahiko NEZU1, Yoshitaka KUWAHARA1,Yukihiro NAKANISHI2, Hiroshi WATANABE3, and Masaaki TERADA1 (1 Genetics Div., 2 Pathology Div.,3 Dep. Surgery, Natl. Cancer Cetr)
食道がんではゲノムサブトラクションによってしばしばヒト以外のDNAが分離される。 そこで細菌型リボゾームDNAをプローブとしてサザンブロット法によって検討した結果、食道がん部では15例中11例(73%)、胃がん部では43例中9例(21%)で検出されたのに対して、食道および胃の正常部、大腸がん、子宮頚部がん、膀胱がん及び腎細胞がんでは全く検出されなかった。 食道がん部・胃がん部で高率に存在する菌のDNA断片をクローニングし、塩基配列を決定した。その結果Streptococcus anginosusのrDNAと99%のホモロジーを示し、Streptococcus様細菌の感染が高率にあることを見い出した。次にStreptococcus anginosusを特異的に検出するPCRプライマーを作製し、種々のがん組織や食道異形上皮での感染を調べた結果、食道がん部では70%以上、胃がん部では約40%で検出され、他のがん部では検出されなかった。また食道がん患者の50%で異形上皮からも検出された。内視鏡生検では32人の健常者の食道粘膜では陰性であったが、頭頚部がん合併の食道がんでは8例中4 例(50%)で検出された。これらの結果はこの菌の感染が食道がんの発生と関連している可能性を示唆する。今後、海外の食道がん、頭頚部がんおよび胃がんで検討する必要がある。