ABSTRACT W09-6(W09)
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COX2阻害剤による発癌抑制とその機構:
武藤 誠(東大、薬、遺伝学)

Suppression of tumorigenesis by COX2 inhibitors in compound knockout mice of the APC and COX-2 genes : Makoto M. TAKETO (Lab. of Biomed. Genet., Grad. School of Pharm. Sci., Univ. of Tokyo)

[目的] APC遺伝子変異は、家族性大腸腺腫症(FAP)のみならず散発性の多くの消化器ポリプ症及び癌の原因ともなっている。我々は、さきにマウスのAPCホモログであるApcにノックアウト変異を導入してFAPのモデルを作出し(1)、アラキドン酸類似のドコサヘキサエン酸(DHA)がApcノックアウトマウスのポリプ数を減少させることを報告した(2)。近年、非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)が、腸癌や腸ポリプ症に治療効果があるとの報告が蓄積し、シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)の阻害に依ると考えられるので、さらにCOX2阻害剤によってApcノックアウトマウスのポリプ数が減少することを報告した(3)。
[方法] COX-2による発癌促進機構を明らかにする為に、Apcノックアウトマウスに於けるCOX-2遺伝子の発現を免疫電顕法を用いて調べた。さらにApcノックアウトマウスのポリプを癌化させるDpc4遺伝子ノックアウト変異を導入し(5)、COX-2遺伝子の発現を調べた。
[結果] COX-2はポリプ形成の早期から間質細胞に発現されており(3,4)、特に繊維芽細胞と血管上皮細胞に強い。腫瘍上皮のDpc4遺伝子ノックアウト変異は良性腫瘍を侵襲性の悪性癌に進行させ間質細胞にCOX-2が発現する。
[結論] これらの結果はCOX-2阻害剤が間質の増生と血管新生を抑えて腫瘍の増大を抑制することを示唆している。
[文献] (1) PNAS 92: 4482 (1995), (2) Carcinog. 16: 2605, (1995) (3) Cell 87:803 (1996), (4) Cancer Res. 57: 1644 (1997), (5) Cell 92: 645 (1998).