ABSTRACT W10-2(W10)
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転写因子による造血制御と白血病発症機構の解析:平井久丸(東大・医・無菌治療)

Analyses of hematopoietic regulation and leukemogenic mechanism by transcription factors : Hisamaru HIRAI (Dept. of Cell Therapy & Transplant. Med.)

造血細胞の分化・増殖は転写因子によって精緻に制御され、遺伝子変異などによってその制御機構が破綻すると白血病を発症し得る。AML1/EVI-1はt(3;21)転座型白血病から単離されたキメラ遺伝子であり、AML1もEVI-1もヒト白血病に広く関与する。AML1はPEBP2bとヘテロダイマーを形成してDNAに結合し、GM-CSF、M-CSF受容体など細胞の分化に重要な遺伝子の転写制御に関わる。また、AML1欠失マウスでは胎児肝造血が障害されることから、AML1は造血に必須であると考えられる。細胞内情報伝達系においてAML1はERKに構成的に会合し、外的刺激によるRAS情報伝達経路の活性化に伴い、ERKによってリン酸化を受けて転写活性が上昇する。AML1/EVI-1は転座によってこのリン酸化部位を欠き、AML1の転写活性をdominantに抑制して血球分化を阻害し、白血病発症に関与すると考えられる。一方、EVI-1遺伝子はマウス骨髄性白血病の原因遺伝子として単離され、2つのzinc finger領域を持つ転写因子をコードする。EVI-1はc-FOSプロモーターを介して、AP-1活性を上昇させ細胞の増殖活性に関わる。また、EVI-1はTGFbの細胞内シグナル伝達分子の一つであるSmad3と結合し、その機能を不活化することによってTGFbシグナル伝達を抑制することから、 EVI-1は増殖抑制シグナルを不活化すると考えられる。AML1/EVI-1はEVI-1の全体を含むため、EVI-1と同様にこれらの機能を保持している。以上の結果から、染色体転座によって形成されるキメラ型転写因子は、複数の機能を獲得して造血細胞の分化抑制と増殖促進に関与し、白血化に関わると推測される。