ABSTRACT W10-4(W10)
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細胞周期制御と発癌:豊島秀男(財団法人東京都臨床医学総合研究所・腫瘍生化学研究部門)

Cell growth regulation and the cell cycle.
Hideo Toyoshima (Dept. of Tumor Biochem., The Tokyo Metropolitan Inst. of Med. Sci.)

細胞周期の理解は、癌の発症機序を考える上で重要である。細胞周期は多くの蛋白因子によって調節を受けるが、中でもその進行に伴って発現される各種サイクリン/CDK複合体は必須であり、自身の発現量の調節は元より、他の多くの蛋白因子によってそのキナーゼ活性は複雑に制御を受ける。このなかで、一連のCDK阻害蛋白質は細胞周期の停止に重要な役割を果たすことが示され注目されている。CDK阻害蛋白質は哺乳動物細胞では現時点でp53癌抑制遺伝子により発現が誘導されることで注目されたp21に相同性のあるp21ファミリーと、染色体9p21においてヒト癌細胞で高頻度に異常が報告されているp16に相同性のあるp16ファミリーの2つに分類される。いずれも細胞周期の進行を負に制御し、癌抑制遺伝子に近い性格を有し、癌発症、創傷治癒、老化、細胞分化、発生などの種々の生命現象に関わると考えられる。この中で我々は、p21ファミリーに属するp27CDK阻害蛋白質をG1期の進行に重要であるサイクリンD1/CDK4に結合する蛋白として同定し、解析してきたので、これを中心に細胞周期による細胞増殖の調節および、癌発症との関わりを考察する。p27は、MassagueらのグループによりTGFβにより細胞が増殖を停止する際に誘導されるサイクリンE/CDK2の阻害因子としても報告されている。