ABSTRACT W11-2(W11)
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転座型腫瘍における癌抑制遺伝子、癌遺伝子の異常と臨床像:林 泰秀(東大・医・小児)

Correlation between tumor suppressor genes, oncogenes and clinical features in translocation-associated malignancies: Yasuhide HAYASHI (Dept. of Pediatr. Faculty of Medicine, University of Tokyo)

近年、染色体転座の分子生物学的解析が進んでいる。また悪性腫瘍の進展には、種々の癌抑制遺伝子、癌遺伝子の異常が複数の段階で関与している(多段階発癌)と考えられている。我々は転座型腫瘍におけるp53, p16, RAS, p21遺伝子異常の臨床的意義について検討を行った。
t(1;19)-急性リンパ性白血病(ALL)(E2A-PBX1)では、p53遺伝子の変異は初発時20例中2例(10%)、再発時4例中4例(100%)、細胞株5株中4株(80%)でみられ、変異のみられた5例中4例(80%)が死亡しており、変異のみられなかった17例全例が生存中で有意差がみられた。RAS遺伝子の変異は24例中1例のみにみられ、ALLで高頻度でみられるp16遺伝子の変異は13例中1例しかみられず、p16遺伝子の異常は未分化なALLと関連を有すると思われた。
11q23転座は乳児やFAB分類M4とM5でみられ、11q23領域よりMLL遺伝子が単離された。これまで相手遺伝子が16個単離され、我々も転写コアクチベーターであるCBPとp300遺伝子およびABI-1を単離している。乳児ALL37例の検討では27例(73%)でMLL遺伝子の再構成がみられ、再構成のある症例はない症例より予後不良であった(p=0.0001)。11q23転座型白血病のp53の変異は23例中2例(9%)に、RAS遺伝子の変異は40例中4例(10%,すべてK-RAS)にみられ、いずれも予後不良であった。p16遺伝子は35例中6例(17%)にホモ接合体欠失がみられた。
これらのことは転座型白血病もさらに癌抑制遺伝子や癌遺伝子の異常により進展し、悪性化が進むことを示唆する。 B前駆型ALLでみられるt(12;21) (TEL-AML1)、T-ALL およびt(11;22)-,t(21;22)-Ewing肉腫における癌抑制遺伝子の異常についても言及する。