ABSTRACT W11-5(W11)
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Evi-1による細胞増殖の制御機構:三谷絹子, 黒川峰夫, 平井久丸 (東大・医・3内)

Regulational mechanism in cellular proliferation by Evi-1: Kinuko MITANI, Mineo KUROKAWA, Hisamaru HIRAI (3rd Dept. of Internal Medicine, Fac. of Medicine, Tokyo Univ.)

Evi-1は2つの zinc finger 構造を持つ核内蛋白質をコードし、ヒト染色体の 3q26 に存在する。Evi-1は正常骨髄細胞ではほとんど発現が認められないが、3q26転座型を含む各種のヒト白血病において発現が亢進することが知られている。従って、Evi-1の高発現は造血細胞の悪性化に深く関与すると考えられる。Evi-1による白血病発症の分子機構を解析する目的で、 Evi-1 と代表的な増殖抑制因子である transforming growth factor b (TGFβ) の相互作用を検討した。 Plasminogen activator inhibitor-1 (PAI-1) および p15 は TGFβにより発現が誘導される遺伝子であるが、レポーターアッセイにおいて、 Evi-1 はTGFβ による両者のプロモーターの活性化を著明に抑制した。また TGFβは上皮細胞に対して著明な増殖抑制をかけるが、Evi-1 を導入された上皮細胞はこのTGFβ による増殖抑制から逃れることを示した。以上のことから、Evi-1 は TGFbのシグナル伝達を特異的に遮断することが明らかとなった。さらに、 TGFb作用の抑制には Evi-1 の2つの領域、第 1 zinc finger domain と第 2 zinc finger domainからN末領域、が必要であることを明らかにした。この第 1 zinc finger domain を介して Evi-1は TGFβ の細胞内シグナル伝達分子の一つである Smad3と結合することが判明した。その結合は TGFβ 刺激によって増強されることから、 Evi-1 はTGFβによって活性化された Smad3 と主に核内で結合すると考えられた。Evi-1 はSmad3 による PAI-1 プロモーターの活性化も著明に抑制し、その抑制には第1zinc finger domain が必要であった。以上のことから Evi-1 は Smad3を不活化することによって TGFβによるシグナル伝達を抑制すると考えられた。これらの知見は、Evi-1による細胞増殖制御および白血病発症の機構の解明の重要な手がかりになると考えられる。