ABSTRACT W12-1(W12)
ヌクレオチド除去修復異常と紫外線皮膚発がん:田中亀代次(阪大・細工セ)
Nucleotide excision repair deficiency and ultraviolet induced skin carcinogenesis (Inst. Mol. Cell. Biol., Osaka Univ.)
細胞はDNA損傷を引きおこす物質に絶えずさらされており、突然変異、染色体異常ひいては発癌の原因になる。細胞はこれらのDNA損傷を修復する多様なDNA修復機構を持つが、ヌクレオチド除去修復 (nucleotide excision repair; NER) 機構は最も重要なDNA修復機構の一つである。色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum; XP)やコケイン症候群(Cockayne syndrome; CS)は、日光による高頻度皮膚癌発生、種々の精神神経症状などの臨床症状を示すNER異常疾患である。これらの原因遺伝子がクローニングされ、ヒトNERの分子機構の解明が急速に進展している。そして、転写と共役した修復と呼ばれる機構により、転写されているDNA鎖上のDNA損傷は非転写鎖上のそれよりも速く修復されることが明かになった。CSでは転写と共役した修復機構が特異的に欠損している。我々は、CS蛋白質同様に転写と共役した修復機構に関り、NERと転写機構の橋渡しをする新規蛋白質を同定した。一方、遺伝子ターゲテイング法により作成したA群XP遺伝子欠損マウスはNER能を欠損し、低線量の紫外線照射で高頻度に皮膚癌を発生する。これらの皮膚発癌に関わる癌遺伝子および癌抑制遺伝子の検索を行いつつある。