ABSTRACT W12-3(W12)
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MTH1遺伝子欠損マウスにおける自然発癌の解析:續輝久(九大・医・放基)

Spontaneous tumorigenesis in mice with targted disruption of MTH1 gene encoding 8-oxo-dGTPase. : Teruhisa TSUZUKI (Dept. Med. Biophys. & Radiat. Biol., Fac. Med., Kyushu Univ.)

電離放射線や環境中に存在する化学物質、さらには生体内での通常の代謝活動によっても活性酸素が生じている。これらは様々な作用を生体にもたらすが、中でもDNAの酸化は突然変異や発癌さらには生体の老化に深く関わっていることが示唆されてきた。様々なDNAの酸化的傷害のうちで、グアニン塩基の酸化体(8−オキソグアニン)は、その強力な突然変異原性から注目されている。これまでの大腸菌の変異株を用いた研究から、MutT蛋白質がヌクレオチドプール中の8-oxo-dGTPを加水分解し、DNAへの取込みを抑えることによって、自然突然変異を抑制していること、またそのホモログ(MTH1)がヒトをはじめとする哺乳動物にも存在することを明らかにした。MTH1蛋白質の自然突然変異、自然発癌の抑制における役割を解明する目的で、標的遺伝子組換えによりMTH1遺伝子欠損細胞株並びに遺伝子欠損マウス系統を樹立した。MTH1遺伝子欠損細胞株では、hprt遺伝子座における突然変異頻度が野生型細胞株に比べて約2倍に上昇していた。また、通常のSPF飼育条件下で1年半を経過した時点でのマウス個体(MTH1+/+, MTH1-/-)における自然発癌を検討したところ、MTH1+/+とMTH1-/-マウスで肝臓における腫瘍はほぼ同じ程度認められたが、MTH1-/-マウス個体のみで胃にポリープの発生を認め、一部腺癌への組織変化が確認されるものも含まれていた。このことは、酸化型グアニンの生成が哺乳動物において突然変異や癌の誘因となっている可能性を示しており、自然発癌の誘因とその機構を考える上で重要な示唆を与えるものと考える。