ABSTRACT W12-4(W12)
ヒトがんにおけるミスマッチ修復欠損とその標的遺伝子:清水憲二1、池田雅彦1、2、折茂英生3、松原長秀1、2、高嶌寛年1、2、田中紀章2、木村彰方4、島田隆3(1岡山大・医・遺伝子・2一外・3日本医大・生化分子生物・4東医歯大・難治研)
Defects in mismatch-repair system and their target genes in human cancers : Kenji SHIMIZU1, Masahiko IKEDA1,2, Hideo ORIMO3, Nagahide MATSUBARA1,2, Hirotoshi TAKASHIMA1,2, Noriaki TANAKA2, Akinori KIMURA4, Takashi SHIMADA3 (1Dept. Mol. Genet., 2Dept. 1st Surg., Okayama Univ. Med Sch., 3Dept. Biochem. Mol. Biol., Nippon Med. Sch., 4Div. Adult Dis., Med. Res. Inst., Tokyo Med. Dent. Univ.)
DNAの塩基対ミスマッチ修復機構は全ての生命体で高度に保存された遺伝子維持機構で、その破綻は遺伝性非腺腫性大腸癌の原因の一つであることが確認されている。これまでにhMSH2, hMLH1を主とした修復遺伝子欠損はTGFベーター受容体やBAX等の遺伝子のフレームシフト変異を起こし、これらを不活化することが知られていた。我々はマイクロサテライト配列の不安定性を示す孤発性の大腸癌や胃癌において細胞周期調節因子で癌遺伝子ともなるE2F4 遺伝子エキソン内のCAGリピート数の変異を発見し、さらにこの変異はミスマッチ修復遺伝子hMSH3の不活化変異と密接に連関することを見い出した。CAGリピートの減少したE2F4遺伝子産物は転写活性化能が高まり、c-myc 遺伝子などの発現が昂進するという知見も得ている。以上の事実は、癌におけるミスマッチ修復遺伝子の欠損は癌抑制に関わる遺伝子の不活化だけでなく、プロト癌遺伝子の活性化も標的になることを明らかにしたものである。本ワークショップではこれらの具体的なデータと我々が提唱した癌進展についてのMutational Cascade Modelを紹介し、討論に供したい。