ABSTRACT W12-5(W12)
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ジーンターゲティングを用いたDNA修復異常による発癌機構の解析:野田哲生(東北大・医・分子遺伝、癌研・研・細胞生物、科技団・CREST)

Functional analysis of genes involved in DNA repair systems by targeted mutagenesis in mice.: Tetsuo NODA (Dept. Mol. Genet., Tohoku Univ. Sch. Med., Dept. Cell Biol., Cancer Institute, CREST, Japan Science and Technology Corp., Japan.)

ヒトの染色体DNAは常に各種変異原によりDNA損傷を受けており、いくつかの高発癌性疾患の原因遺伝子がDNA修復に関与する遺伝子であることからも、このDNA損傷を修復する機構の異常がヒトにおいても実際に発癌を引き起こしていると考えられている。こうした各種高発癌性疾患の1つに非ポリポージス性遺伝性大腸癌(HNPCC)があり、その原因遺伝子としてMSH2,MLH1を始めとするミスマッチ修復系に働く各種遺伝子が同定されている。これらの修復系の異常が生体内で発癌を引き起こす機構を解析するため、我々はマウスのMLH1遺伝子に変異を導入することによりHNPCCモデルマウスを作成した。このマウスのホモ接合変異体には、リンパ腫に加えて消化管腫瘍や皮膚腫瘍の多発が観察されたが、これらの腫瘍由来のDNAではマイクロサテライトマーカーの不安定化(RER)が検出され、このマウスはHNPCC患者における発癌過程を再現していると考えられた。現在、ヒトのRER陽性の腫瘍において変異の導入が報告されている各種標的遺伝子について、これらの腫瘍における変異を検索している。さらに我々は、このMLH変異マウスとAPC変異マウスの交配を行った。得られた二重変異マウスでは消化管腫瘍の発生数がAPC変異マウスの3倍に上昇することが観察された。通常のAPC変異マウスでは、APC遺伝子に対するセカンド・ヒットはLOHとして生じるが、この二重変異マウスに発生した腫瘍のAPC遺伝子にはLOHは観察されなかった。現在これらの腫瘍のAPC遺伝子に導入された変異の様式を解析中であり、その結果を併せて報告する。