ABSTRACT W13-1(W13)
ヒト胃がんにおける腹膜播種の抑制および予測因子としてのインテグリンβ4:石井良幸1、2、落合淳志1、山田哲司1、秋元信吾1、北島政樹2、広橋説雄1(1国立がんセ・研・病理、2慶大・医・外)
Integrin beta 4 as a suppressor and a predictive marker for peritoneal dissemination in human gastric cancer: Yoshiyuki ISHII1,2, Atsushi OCHIAI1, Tesshi YAMADA1, Shingo AKIMOTO1, Masaki KITAJIMA2, Setsuo HIROHASHI1 (1Pathol. Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst., 2Dept. Surg., Keio Univ.)
腹膜播種性転移は胃がん患者の予後を左右する重要な転移様式である。この分子機構の解明は、腹膜播種治療の開発に不可欠であり、これまでに細胞接着因子や細胞外基質分解酵素などが腹膜播種の形成に関連すると報告されている。我々は、細胞運動や増殖、分化などの細胞生物機構にも関与すると考えられている細胞接着因子インテグリンに着目し、胃がん細胞株を用いSCIDマウスの腹膜播種モデルを作製し、がん細胞株の腹膜播種能とインテグリンの発現を比較検討した。その結果、インテグリンβ4の発現レベルと腹膜播種能との逆相関を認め、さらにβ4の全長遺伝子導入によりがん細胞株の腹膜播種は抑制され、細胞内ドメイン欠損遺伝子導入による内因性β4の細胞内機能阻害により腹膜播種は亢進した。このβ4による腹膜播種の抑制は、β4を高発現するがん細胞でアポトーシスが誘導された結果であることを明らかにした。臨床病理学的検討では、β4発現陽性の腫瘍を有する症例において腹膜播種が有意に低頻度であり、予後も良好であった。これらの結果は、β4が胃がんの腹膜播種に対し抑制的に作用する因子であり、その発現は腹膜播種の予測因子として腹膜播種予防に貢献できるものと考える。