ABSTRACT W15-1(W15)
血管内皮細胞の増殖とアポトーシスにおけるProtein kinase Cの関与: 高橋知子, 山口幸子, 渋谷正史(東大・医科研・細胞遺伝)
Involvement of Protein kinase C in cell growth and death of vascular endothelial cells : Tomoko Takahashi, Sachiko Yamaguchi and Masabumi Shibuya (Dept. Genet., Inst. Med. Sci., Univ. Tokyo)
固形腫瘍の増生と進展に血管新生は必須であり、その機構の一つとしてVEGF (Vascular endothelial growth factor)とその受容体であるFlt-1及びFlk-1/KDRが重要な役割を果たしている。我々は、 VEGF依存性に増殖するラット肝類洞壁内皮細胞(SEC)を用いてシグナル伝達機構を解析した。その結果、VEGF依存性にFlk-1/KDRが自己リン酸化し、PLC-γをリン酸化すること、また速やかにRaf-MEK-MAP kinase系を活性化することを見い出した。この経路には主にProtein kinase C (PKC) が関与していたが、驚いたことにはRasの関与は非常にわずかであった。また、 PKC isozymeのうちβ typeが比較的よく活性化されていた。一方、SECはVEGF依存性に増殖するものの、 VEGF存在下であっても約1週間でアポトーシスにより細胞死を引き起こす。この細胞死は高濃度のTPAで細胞を処理し、PKCをdownregulationすると抑制された。そこで PKC isozyme各々の時間的経過を調べたところ、 α, β typeに比較し、δ typeが細胞死の直前に著明に増加し、しかもこの細胞死はPKC δ type特異的阻害剤で抑制することができた。以上のことより、血管内皮細胞の増殖および細胞死にはPKCが深く関与し、 isozymeの使い分けがされている可能性が示唆された。