ABSTRACT W15-2(W15)
チミジンホスホリラーゼの関与する腫瘍増殖・血管新生とその阻害:秋山伸一1、松下茂人1、北園正樹1、谷綾子1、住澤知之1、古川龍彦1、宮寺和孝2、山田雄次2(1鹿児島大・医・腫瘍研、2大鵬薬品・第一がん研)
Thymidine phosphorylase and angiogenesis, tumor progression: Shin-ichi AKIYAMA1, Shigeto MATSUSHITA1, Masaki KITAZONO1, Ayako TANI1, Tomoyuki SUMIZAWA1, Tatsuhiko FURUKAWA1 , Kazutaka MIYADERA2, Yuji YAMADA2 (1Inst. for Cancer Res., Facult. of Med., Kagoshima Univ., 2Hanno Res. Center, Taiho Pharmaceutical Co. LTD)
チミジンホスホリラーゼ(TP)は、血管新生因子PD-ECGF と同一であり、PD-ECGF/TPは正常組織に比し、多くの固形腫瘍において高レベルに発現している。また、PD-ECGF/TPの発現している大腸、腎癌症例では発現していない症例に比べ、予後が悪い。これらの症例で、PD-ECGF/TPの発現は微小血管の密度に無関係に予後因子であり、TPが血管新生以外の腫瘍の進展に関係した働きを有していることを示唆している。TP非発現KB細胞にPD-ECGF/TPcDNAをトランスフェクトしたTP発現細胞(KB/TP)は低酸素下で誘導されるアポトーシスに対し耐性であった。TPによるthymidineの代謝産物であるthymineと2-deoxy-D-riboseは、KB細胞を低酸素下でのアポトーシスに耐性にした。この耐性抑制効果は、2-deoxy-L-riboseで阻害された。In vivoでのKB/TPはベクターのみをトランスフェクトしたKB/cvと比較して増殖速度は速く、免疫組織染色で微小血管数をみると、 KB/TPが有意に多く、TUNEL法でapoptotic indexをみると、KB/TPで有意に低かった。PD-ECGF/TPの発現は固形腫瘍の進展において重要な役割を担っており、TP阻害剤やthymidineの代謝産物の誘導体は、血管新生活性とアポトーシス抑制作用を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制する可能性がある。