登録番号: | 10051 |
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演題番号: | W5-6 |
発表日: | 2020/08/20 |
時刻: | 14:00〜16:00 |
会場: | 第12会場(ノース 4階 G403+G404) |
発表セッション記号: | 31 |
発表セッション名: | ワークショップ5 よく分からないCKD/DKD栄養指導実践:Pros and Cons |
発表セッションサブタイトル: | |
座長名: | 鈴木 芳樹、菅野 義彦 |
座長所属: | 新潟大学保健管理センター、東京医科大学腎臓内科学分野 |
荒木 信一1
1滋賀医科大学糖尿病内分泌・腎臓内科
糖尿病患者において、DKDの合併の有無にかかわらず良好な血糖管理を維持することは、腎症の発症・進行を抑制するために重要であるだけではなく、その他の血管合併症の発症・進行を抑制し、健常人と変わらない生活の質の維持と寿命の確保という糖尿病治療目標達成のための重要な治療戦略である。基本的には、血糖管理の目標はDKD患者と非DKD患者に大きな違いはない。しかし、DKD患者では、腎機能の低下(腎症病期の進行)に伴い、カロリー制限を中心とした糖尿病食から高カロリーでタンパク制限を必要とする腎臓病食へと食事内容が大きく変化する。そのため、その変化に戸惑い血糖管理が悪化する患者も少なくない。特に、腎臓内科医へ紹介があった場合、初めて出会う腎臓内科医から従来の内容とは大きく異なる食事内容をいきなり指導され医療不信を抱く患者もいる。そのため、糖尿病内科医と腎臓内科医の間でシームレスなDKD治療に取り組むことが重要となる。また、DKD患者では、腎機能の低下に伴い、腎臓での糖新生能の低下、インスリンの分解・排泄低下などにより低血糖が生じやすくなってくる。腎排泄型の糖尿病治療薬を使用している患者では、薬剤の排泄遅延も加わることで、低血糖の重篤化や低血糖からの回復が遅延することになる。特に、高齢で腎機能が低下したDKD患者に、インスリン製剤やSU薬などで血糖管理を行っている場合、重症低血糖の発症リスクが高くなるため注意が必要である。また、サルコペニアを合併するDKD患者も、筋肉量が少なく低血糖リスクが高くなる。このような患者では、個々の患者背景に応じて血糖管理の目標を緩やかにし、適時、薬剤量を評価・調整する必要があること、また、血糖管理目標の下限を設定し低血糖を起こさせないことが重要である。 |