登録番号: | 10082 |
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演題番号: | S17-5 |
発表日: | 2020/08/21 |
時刻: | 09:00〜11:00 |
会場: | 第2会場(ノース 3階 G303+G304) |
発表セッション記号: | 36 |
発表セッション名: | シンポジウム17 ポストSGLT2阻害薬時代の糖尿病性腎臓病の新規治療戦略Diabetic Kidney Disease: New Therapeutic Strategy in the Post SGLT2 inhibitor Era |
発表セッションサブタイトル: | |
座長名: | 豊田 雅夫、古市 賢吾 |
座長所属: | 東海大学腎内分泌代謝内科、金沢医科大学腎臓内科 |
藤田 浩樹1
1秋田大学 内分泌・代謝・老年内科学
インクレチン関連薬であるGLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の血糖降下作用から独立した腎保護効果が基礎研究と大規模臨床試験から報告されてきている。2型糖尿病患者を対象とし、GLP-1受容体作動薬のLiraglutideとSemaglutideの心血管イベントに対する安全性を検証したLEADER試験とSUSTAIN-6において、糖尿病性腎臓病(DKD)ならびに腎イベントの評価も行われ、LEADER試験ではLiraglutide投与群での複合腎アウトカムの減少、持続性Macroalbuminuriaの新規発症の抑制が示され(NEJM 2017)、SUSTAIN-6においてもSemaglutide投与群でのDKDの新規発症や悪化の抑制が報告された(NEJM 2016)。また、心血管および腎リスクの高い2型糖尿病患者を対象とし、DPP-4阻害薬のLinagliptinの心血管および腎アウトカムを評価したCARMELINA試験においても、Linagliptin投与群でのアルブミン尿の進展抑制が示された(JAMA 2019)。こうしたインクレチン関連薬の腎保護効果の機序を説明し得る基礎研究からの知見も報告されてきている。我々の教室からは、(1)In situ hybridizationおよびRT-PCR解析でマウスの腎臓においてGLP-1受容体は糸球体係蹄壁および血管壁に局在して発現していること(Kidney Int 2014)、(2)GLP-1受容体作動薬の投与により腎臓内で増加するGLP-1受容体シグナルはその主要なセカンドメッセンジャーであるcAMPのレベルを高めることで、高血糖状態下で増加する腎臓内酸化ストレスを減少させ、糸球体や血管を保護する役割を果たしていること(Kidney Int 2014)、(3)DPP-4阻害薬の投与は腎臓内GLP-1受容体シグナルを高めるだけでなく、DPP-4の別のターゲットであるケモカインSDF-1の遠位ネフロンでの発現を増加させ、これを介して尿中Na排泄を促進することにより糸球体高血圧を改善すること(Kidney Int 2016)などの新しい知見を報告してきた。本シンポジウムでは、上記を中心に概説させていただく。 |