第63回日本腎臓学会学術総会


登録番号:20333
演題番号:P-050
発表日:
時刻:
会場:
発表セッション記号:071
発表セッション名:一次性糸球体疾患 ポスター
発表セッションサブタイトル:
座長名:
座長所属:

小児IgA腎症56例の臨床病理学的検討

藤丸 季可1、松田 百代1、久富 隆太郎1

1大阪市立総合医療センター小児総合診療科

【対象・方法】2008年7月から2019年12月に小児IgA腎症と診断した72例のうち、1年以上観察した56例を対象に臨床病理学的検討を行った。【結果】男36例、女20例。発見動機は学校・園検尿43例、肉眼的血尿10例、肉眼的血尿を伴う浮腫2例、浮腫1例であった。初診時にネフローゼ3例、高血圧2例、腎機能障害2例を認めた。診断時平均年齢は10.1(3.3〜18.4)歳であった。初回病理所見は、Oxford分類ではM0/1:39/17例、E0/1:42/14例、S0/1:50/6例、T0/1/2:55/1/0例、C0/1/2:32/20/4例で、IgA腎症診療指針第3版では軽症43例、重症13例であった。初期治療は降圧薬単剤30例、ステロイドパルス療法(MPT)+プレドニゾロン(PSL)+免疫抑制薬(IS)13例、MPT+PSL9例、PSL+IS1例、PSL単剤2例、無治療1例であった。平均観察期間は4.4年で、21例(40%)は初期治療に対して効果不十分や再燃を認め、MPT、IS、PSLを適宜追加した。肉眼的血尿は延べ130回認め、うち12回で急性腎障害を合併した。再生検は14例、扁桃摘出術は23例に施行した。最終観察時、投薬終了は22例で、尿所見は蛋白尿・血尿7例、蛋白尿4例、血尿9例、寛解36例で、慢性腎臓病は1例のみにstage2、高血圧は3例に認めた。【結論】腎病理所見に基づいた初期治療に対して効果不十分例や再燃例においては、MPTを含めた治療戦略の見直しを適切に行い、腎保護に努める必要がある。