第63回日本腎臓学会学術総会


登録番号:20598
演題番号:P-147
発表日:
時刻:
会場:
発表セッション記号:076
発表セッション名:慢性腎不全(臨床) ポスター
発表セッションサブタイトル:
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座長所属:

肝移植患者へのエベロリムス導入に伴う腎機能への影響

水口 斉1、脇野 修2、蛭川 和也3、篠田 昌宏3、畔上 達彦2、長谷川 一宏2、神田 武志2、徳山 博文2、北川 雄光3、伊藤 裕2

1防衛医科大学病院輸血血液浄化療法部、2慶應義塾大学病院腎臓内分泌代謝内科、3慶應義塾大学病院一般外科

<背景>肝移植患者の免疫抑制剤として、エベロリムス(EVR)は本邦で2018年から使用が認められ、当施設でも導入を進めている。今回は、タクロリムス(FK)を減量しEVRを導入した患者における腎機能の推移を検討した。<対象と方法>当施設の肝移植術後にEVRを導入した症例を対象とした。導入時→導入後6ヶ月で以下の項目を検討した:FKの血中濃度、eGFR(ml/min)、尿中NAG(IU/g・Cr)、尿中β2MG(μg/g・cr)、蛋白尿(g/g・cr)、高脂血症(TG(mg/dl), LDL-C(mg/dl)、耐糖能異常(HgA1c%)<結果>23例でEVRを導入した。移植後EVR導入までの期間は平均1043日であった。導入後に急性細胞性拒絶を1例認めた。FKの平均血中濃度はFK減量後5.07→2.56ng/mlに減少した。また、尿蛋白0.41±0.09→2.39±0.98g/g・Cr、尿中NAG14.8±0.03→13.7±0.06IU/g・Cr、尿中β2MG6.4±4.0→4.4±1.9mg/g・Cr、eGFR36.7±1.95→41.4±2.79ml/min、TG188.7±24.9→204.2±31.6mg/dl、LDL-C100.5±12.6→125.4±12.8mg/dl、HgA1c5.85±0.34→5.93±0.20%であった。<結語>肝移植患者において、EVR導入により、短期的なeGFRは改善を認めるが、尿蛋白は増加する症例が多いことが分かった。EVR導入に伴う長期的な予後への影響は今後検討が必要である。