第63回日本腎臓学会学術総会


登録番号:20685
演題番号:O-047
発表日:
時刻:
会場:
発表セッション記号:010
発表セッション名:薬物療法(基礎)
発表セッションサブタイトル:
座長名:
座長所属:

インドキシル硫酸がマウス骨格筋に与える影響解析と介入探索

東原 崇明1、西 裕志1、竹村 浩至1、南学 正臣1

1:東京大学医学部付属病院腎臓・内分泌内科

【目的】慢性腎臓病患者では腎機能低下に伴い高率にサルコペニアを合併し, 生命予後や健康寿命と相関するが, その病態と治療法は明らかではない. 我々は尿毒素の蓄積が骨格筋に負の影響を与えると仮説立て,インドキシル硫酸indoxyl sulfate(IS)がマウス骨格筋に与える影響を解析し介入法を探索した【方法】C57BL6マウスに対して片腎摘出後, vehicle (PBS)或いはISを連日腹腔内投与し,運動耐用能(treadmill fatigue test), 骨格筋湿重量を評価した. また, 骨格筋細胞株C2C12を用い, IS添加による細胞サイズ, 蛋白量変化を評価した.さらに, 抗サルコペニア薬候補の一例として筋力増強作用が示唆されるβ2刺激薬の作用を評価した【結果】IS投与群マウスではvehicle投与群に比較して運動耐用能と腓腹筋湿重量が低下した. また,培養筋管細胞はIS添加で, 単一細胞径の縮小,ミオシン重鎖蛋白の減少,ユビキチン分解系の亢進を認め, それらに対しβ2刺激薬の添加により変化が抑制された【考察】尿毒素ISは個体マウスではサルコペニアに特徴的な運動耐用能・筋重量低下,培養骨格筋細胞では細胞サイズ・構成蛋白減少を誘導した事から,尿毒素は腎不全サルコペニア発症に独立に寄与している可能性がある.今後更に, 尿毒素が骨格筋に誘導する分子経路とそれに拮抗する薬理学的機転を模索する.