第64回日本腎臓学会学術総会


登録番号:20073
演題番号:BA-04
発表日:2021/06/20
時刻:09:00〜10:00
会場:第4会場(ノース 3階 G314+G315)
発表セッション記号:31
発表セッション名:一般演題優秀演題賞(基礎)1
発表セッションサブタイトル:
座長名:長瀬 美樹、浅沼 克彦
座長所属:杏林大学肉眼解剖学、千葉大学腎臓内科学

MAFB変異部位の違いによる巣状分節性糸球体硬化症の発症メカニズムの相違

臼井 俊明1、森戸 直記1、金井 真帆2、綱川 祐貴2、濱田 理人2、全 孝静3、水野 聖哉3、高橋 智2、山縣 邦弘1

1筑波大学医学医療系腎臓内科学、2筑波大学医学医療系解剖学・発生学、3筑波大学医学医療系トランスボーダー医学研究センター

【背景】MAFBは、ポドサイト特異的転写因子である。 ヒトのMAFB変異による疾患として、多中心性手根足根骨融解症候群(MCTO)とデュアン眼球後退症候群(Duane症候群)が知られている。これらの2疾患は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)をきたすが、MAFB変異部位が異なる。【方法】CRISPER-Cas9を用いて、ヒトのMAFB変異患者と同じ遺伝子変異をもった2疾患の疾患モデルマウスを作製し、解析を行った。【結果】MCTOマウスは、4週齢からアルブミン尿を呈し、FSGS様組織を呈した。単離糸球体RNAseqでは、slit膜タンパクのネフリンやポドシンの発現低下はなく、ポドサイトのTight-junction(TJ)機能障害を起こすCldn1の発現上昇を認めた。Duane症候群マウスは、無尿で出生直後に死亡し、ポドサイトの足突起形成不全、ネフリンやポドシンの発現消失を認めた。【結語】MAFB変異により、MCTOではポドサイトのTJ機能障害を、Duane症候群では強いslit膜構成タンパク障害を起こした。この違いは、転写活性化部位(MCTO)、DNA結合部位(Duane症候群)というMAFB変異部位の違いに起因する。