第66回日本腎臓学会学術総会


登録番号:20053
演題番号:O-097
発表日:2023/06/09
時刻:16:30〜17:30
会場:第7会場(4階 416+417)
発表セッション記号:020
発表セッション名:CKD(臨床)3
発表セッションサブタイトル:
座長名:豊田 雅夫、
座長所属:東海大学医学部内科学系腎内分泌代謝内科学、

D-アスパラギンは糸球体ろ過量測定に理想的な内因性分子である

木村 友則1、谷口 歩2、今村 亮一2、高原 史郎3、堀尾 勝3、酒井 晋介4、猪阪 善隆4

1医薬基盤・健康・栄養研究所、2大阪大学泌尿器科、3関西メディカル病院、4大阪大学腎臓内科

背景
糸球体ろ過量(GFR)の評価に理想的な内因性分子は未同定である。最近、D-アミノ酸の一種であるD-セリンが、GFR評価に有用であることが判明した。我々は他のD-アミノ酸がGFR評価に有用か検討した。
方法
イヌリンクリアランスによりGFRを評価した腎移植関連患者210人の血液、尿のD-アミノ酸を測定した。D-アミノ酸濃度とGFRとの関係は多変量解析で検討した。イヌリンを標準物質とした尿排泄率(FE)を同定した分子について評価し、GFR評価において理想的な排泄率である100%との差をバイアスとして検出した。同定した分子のクリアランスとGFRとの傾きバイアスはデミング回帰分析で算出した。
結果
D-アスパラギン(D-Asn)がGFR評価の候補分子として同定された。D-Asnの排泄率は98.7%であり、GFRマーカーのクレアチニン(147.9%)やD-セリン(84.8%)に比して有意にバイアスが小さかった。D-AsnクリアランスのGFRに対する傾きバイアスは-7.8%であり、クレアチニン(-34.5%)やD-セリン(21.2%)のクリアランスに比して有意に小さかった。
結論
D-Asnの腎臓における動態はイヌリンに酷似していることが判明した。D-AsnはGFR評価の理想的な分子であり、補正を必要とせず直接、GFRを評価できる。