第54回日本腎臓学会東部学術大会


登録番号:20305
演題番号:O-055
発表日:2024/09/28
時刻:10:00〜11:00
会場:第6会場
発表セッション記号:10
発表セッション名:血液疾患1 
発表セッションサブタイトル:
座長名:伊與田 雅之、山本 多恵
座長所属:昭和大学微生物学免疫学講座、仙台市立病院 腎臓内科

腎生検でIgG-κ産生B細胞性リンパ腫を診断したCrystal storing histiocytosis (CSH)の一例

関 桃子1、眞部 俊1、潮 雄介1、川口 祐輝1、小林 静佳1、真壁 志帆1、井藤 奈央子2、片岡 浩史2、種田 積子2、本田 一穂3、星野 純一1

1東京女子医科大学病院腎臓内科、2 東京女子医科大学病理診断科、3昭和大学医学部顕微解剖学

【症例】66歳女性。X-5月にCr 0.9 mg/dLであったが、X-2月にCr 1.25 mg/dLと上昇した。血尿陰性、尿蛋白 0.13 g/gCrであったが、尿中NAG 38.3 U/Lなど尿細管マーカー著明高値で、発熱と利尿剤抵抗性の浮腫を認めた。IgG-κ型のM蛋白を認めたが骨髄生検で骨髄腫の診断には至らず(形質細胞 1%)、X月に腎生検施行した。κ鎖に由来するクリスタルを近位尿細管上皮細胞主体に間質マクロファージなど多様な細胞に認め、CD20陽性でIgG-κ鎖陽性のDutcher bodyを持つリンパ球の集簇を認めた。またガリウムシンチ、FDG-PETで左上腕内側に集積があり、生検で細胞内にクリスタルを含む組織球を認めた。以上より、IgG-κ産生B細胞性リンパ腫に伴うCSHと診断した。一時的にCr 1.7 mg/dLまで増悪したがBR療法施行後に浮腫は軽減し、Cr 0.91 mg/dLまで改善した。【考察】血液悪性腫瘍の腎浸潤は稀に経験されるが、本症例の腎検体はCSHによる病変が主体で、腫瘍細胞は検体の一部に限局していた。治療経過からも発熱、全身性浮腫、腎機能障害は、CSHとB細胞性リンパ腫に伴う腫瘍随伴症候群であったと考えられた。文献的考察を含めて報告する。