第54回日本腎臓学会東部学術大会


登録番号:20362
演題番号:P-260
発表日:2024/09/29
時刻:14:30〜15:30
会場:ポスター会場
発表セッション記号:79
発表セッション名:血管炎 ポスター
発表セッションサブタイトル:
座長名:萬代 新太郎、
座長所属:東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 腎臓内科学分野、

結節性多発動脈炎による腎障害の治療中に眼窩先端症候群を発症した一例

石塚 悠奨1、大江 佑治1、木之村 聡介1、野口 雄司1、金 沙織1、豊原 敬文1、宮崎 真理子1、光澤 志緒2、池田 謙輔2、田中 哲洋1

1東北大学病院 腎臓・高血圧内科、2東北大学病院 脳神経内科

【症例】79 歳,女性.【現病歴】X-12年肺MAC症と診断され,RE-CAMで治療された. X-1年8月から発熱や筋肉痛が出現し,MPO-ANCA値が軽度上昇(13 U/mL),ANCA関連血管炎が疑われ,前医でプレドニゾロン (PSL) 30 mg/日が開始された. しかし腎障害が進行したため,X-1年11月に当科紹介となった (初診時Cr 2.58 mg/dL, CRP 9.55 mg/dL, 尿蛋白1.68 g/gCr). 腎生検を施行し,中小動脈で弾性板が断裂・消失し, 断裂部にフィブリン壊死の所見を認め結節性多発動脈炎と診断された. PSLを40 mg/日に増量し,Crは 0.9 mg/dLまで低下,尿所見も改善したため20 mg/日へ漸減して退院した.外来治療中のX年2月頃より右眼痛を訴え,3月初旬に右眼の全方向性への眼球運動制限,右眼瞼下垂が出現し,頭部MRI検査で右眼窩先端部やその周囲の硬膜に造影効果を認めた.眼窩先端症候群の診断で緊急入院となり,ステロイドパルス療法を追加,PSLを増量しAZAも併用して眼症状は改善した.【考察】本症例は肺MAC症を併存疾患とし高齢であることから,経口PSL単剤で加療した.腎障害に対する治療反応は良好であったが,新たに眼窩先端症候群を発症した.血管炎による多彩な臨床像を呈した稀な一例であり報告する.