第54回日本腎臓学会東部学術大会


登録番号:20369
演題番号:P-238
発表日:2024/09/29
時刻:14:30〜15:30
会場:ポスター会場
発表セッション記号:76
発表セッション名:ANCA関連血管炎3 ポスター
発表セッションサブタイトル:
座長名:池内 秀和、
座長所属:群馬大学腎臓・リウマチ内科学、

非典型的な臨床経過と腎病理を呈した多発血管炎性肉芽腫症

木之村 聡介1、豊原 敬文1、白井 剛志2、秋保 真穂1、菊地 晃一1、牧野 塁1、吉田 舞1、大江 佑治1、岡本 好司1、長澤 将1、宮崎 真理子1、佐藤 博1、藤井 博司2、田中 哲洋1

1東北大学病院腎・高血圧内科、2東北大学病院リウマチ膠原病内科

症例は54歳の男性.X-8年に声門下狭窄の精査でPR3-ANCAが陽性だったが,喉頭生検で血管炎の所見を認めず,喉頭以外の症状に乏しいことから多発血管炎性肉芽腫症の確定診断には至らなかった.気管切開を行ったが,免疫抑制薬は開始せずに経過を見た.X年に声門下狭窄の増悪や両側の滲出性中耳炎が出現し,血尿・蛋白尿も見られていたため当科で腎生検を行った.免疫染色及び電子顕微鏡でhump様沈着が見られたが,活動性腎炎の所見を認めず,再び経過観察となった.腎機能障害が年単位に進んだため,X+4年に再び腎生検を行い,hump様沈着は同様だったが,1個の細胞性半月体を認めた.CTで副鼻腔炎と気管支壁の肥厚を認めたため,多発血管炎性肉芽腫症と診断した.メチルプレドニゾロンパルスとリツキリマブによる寛解導入療法を行い,尿所見が速やかに改善し,良好な経過が得られた.本症例は多発血管炎性肉芽腫症としては非典型的な臨床経過や腎病理所見だったため,診断や治療開始の判断に苦慮した.ANCA関連血管炎におけるhump様沈着は稀有な所見と考えられるため報告する.