第54回日本腎臓学会東部学術大会


登録番号:20394
演題番号:O-219
発表日:2024/09/29
時刻:10:00〜11:00
会場:第7会場
発表セッション記号:58
発表セッション名:血液浄化療法 
発表セッションサブタイトル:
座長名:小山 雄太、海老原 至
座長所属:吉祥寺あさひ病院、水戸済生会総合病院

溶血性尿毒症症候群に伴う意識障害が遷延した一例

野口 雄司1、豊原  敬文1、石塚 悠奨1、木之村 聡介1、金 沙織1、菊地 晃一1、吉田 舞1、牧野 塁1、岡本 好司1、長澤 将1、宮崎 真理子1、田中 哲洋1

1東北大学病院腎臓・高血圧内科

【症例】21歳女性【主訴】腹痛,下痢,意識障害【現病歴】数日前より腹痛及び下痢症状自覚していたが,その後大声で泣く,視線が合わない等の普段と異なる様子が観察され前医に搬送された.診断に難渋したが発症10日目に溶血性貧血,血小板低下,腎機能障害から血栓性微小血管症と診断し当院に搬送,鑑別診断を進めるとともに血漿交換,免疫吸着,ステロイドを用いて加療を行なった.その後ベロ毒素陽性が判明し,溶血性尿毒症症候群(HUS, hemolytic uremic syndrome)と診断した.持続的血液濾過透析及び人工呼吸器による治療を要したが,上記加療により離脱し血液学的所見も改善が得られた.一方で意識障害は遷延しており,MRI画像からもHUS脳症に矛盾しない所見であったが,発症から約5ヶ月後に神経学的所見は改善した(Barthel Index発症時0点→5ヶ月後満点).【考察】重症HUSに伴う脳症は既報では1ヶ月以内にほぼ回復しており,長期化する例はあまり報告されていないが,長期に遷延した後に回復した症例を経験した.初期治療の開始時期や内容が長期的予後に影響を与える可能性も示唆されている.本症例も含めてHUSの治療や予後についてはエビデンスの蓄積が必要と考えられた.