日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2004
巻 :4
号 :1
頁 :78〜86

ヒロシマ原爆被爆時の看護活動に関する文献検討―広島陸軍病院赤十字病院における活動―

中信 利恵子1、岩切 桂子1、川西 美佐1、滝口 成美1、植田 喜久子1

1日本赤十字広島看護大学

本研究は、ヒロシマ原爆被爆時の医療・看護に関する29件の文献から、当時の広島陸軍病院赤十字病院における看護活動を明らかにすることを目的として検討を行った。原爆被爆時の看護活動について、救護看護婦・甲種救護看護婦生徒2年生・1年生という当時の地位別に、活動内容、活動方法、活動時の心身の状態という視点から分析した。分析の結果、次のことが分かった。看護婦や看護婦生徒は、自らの負傷も顧みず、不眠不休で活動した。看護婦や看護婦生徒の迅速で的確な活動が病院の救護体制を支えていた。そして、看護婦は全体の統制をはかり、管理・教育的役割を果たした。また、看護婦生徒は指示を受けながら懸命に活動した。2年生は被爆者の創傷処置等の役割、1年生は救護のための環境を整える役割を果たした。さらに、彼女らの看護活動を支えた原動力として、使命感や連帯感が考えられた。
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