日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2004
巻 :4
号 :1
頁 :87〜97

ヒロシマ原爆被爆時に看護活動に携わった看護婦および看護婦生徒が受けた赤十字看護教育

川西 美佐1、中信 利恵子1、岩切 桂子1、滝口 成美1、植田 喜久子1

1日本赤十字広島看護大学

本研究は、ヒロシマ原爆被爆時の看護活動の背景を知るために、文献から、被爆当時に赤十字病院で看護活動に携わった看護婦および看護婦生徒が受けた赤十字看護教育を明らかにし、地位別の看護活動とその教育との関連を検討することを目的とした。分析の結果、教育内容の特徴として【精神訓育の普及徹底】【実務技能の練達】【軍事教育の徹底】の3特徴が抽出された。【精神訓育の普及徹底】と【軍事教育の徹底】が、極限状態においても一致団結して看護活動に邁進した彼等の行動規範を形成し、混乱のさなかでも全体として統制をはかって活動できた基盤となっていた。また、【実務技能の練達】は、看護婦や看護婦生徒2年生と1年生では大きな差があったが、いずれも教育内容の主体は外傷、戦傷、不慮の傷病等に対する応急処置であり、これらは被爆時の外傷や熱傷に対する応急処置や創傷処置、被爆者の救出や運搬に直接役立ったと思われた。
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