寺澤 明子1、戸村 道子2、稲岡 文明2
1大阪赤十字病院、2日本赤十字広島看護大学
赤十字看護大学教員および赤十字医療施設の中間管理者が看護師に期待する基礎的能力、および大卒看護師に対し卒後6ヶ月、1年以内、3年以内に期待する看護実践能力を明らかにすることを目的として、質問紙調査を行った。回答数は大学教員87(回収率66.4%)、中間管理者642(回収率84.5%)であった。基礎的能力の優先順位は、両者とも1〜3位は「全人的・総合的に捉える力」、「倫理観」、「温かさ/豊かな人間性」であったが、中位、下位項目は異なっており、大学教員は「批判・洞察力」、「創造性」を、中間看護管理者は「マナー・規律を守る人間性」、「協働する能力」をより優先していた。看護実践能力についての大学教員と看護管理者の期待の比較(χ2検定)では、看護ケアに関連した能力については大学教員の期待の方が高かった。管理的な能力や専門職としての態度については中間管理者の期待の方が高かったが、それは1年以内、3年以内と時期を経てからであり、赤十字の中間管理者は大卒看護師に対して過度な期待を抱くことなく、育成していこうとする姿勢にあることが推測された。 |