日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2005
巻 :5
号 :1
頁 :117〜123

援助者のタッチによる痴呆性高齢者の反応

江口 保子1、西片 久美子1

1日本赤十字北海道看護大学

本研究の目的は、痴呆性高齢者は援助者からどのような場面でタッチを受けているか、また援助者のタッチによりどのような反応を示すかについて明らかにすることである。研究参加者は介護老人福祉施設に入所中の痴呆性高齢者4名とケアに関わった看護師4名およびケアスタッフ12名であった。データ収集は参加観察法で行い、日常生活の中でタッチがあった場面を痴呆性高齢者の反応に注意しながら詳細に記述した。分析はタッチによりどのような反応を示したかを検討し、類似しているものを整理・分類した。看護師とケアスタッフには研究の主旨を文書と口頭で、痴呆性高齢者にはケアの場面に同席させてほしい旨を口頭で説明し同意を得た。 その結果、タッチは日常生活動作を促す場面に多く、痴呆性高齢者の反応は「促された行動に対応した動き」、「促された行動に対する拒否・抵抗」、「促された行動に対して意味の解釈が困難な言動」、「促された行動に対する感情の表現」の4つが認められた。痴呆性高齢者は援助者のタッチにより反応を示しており、タッチは痴呆性高齢者の反応を引き出す上で有用であることが示唆された。
論文(PDF)を表示