日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2007
巻 :7
号 :1
頁 :68〜77

病院勤務の女性看護職の年令,経験年数,職業アイデンティティ,看護専門職的自律性,バーンアウトの関連

吉田 なよ子1

1日本赤十字広島看護大学

 看護職アイデンティティ研究は主に若い年代が対象であり、中年期の看護職への論考はほとんどみられない。そこで、年令や看護経験は看護職アイデンティティや自律性を高め、またバーンアウトにも関連するのではないかと考えた。本研究は、看護職アイデンティティを中心に看護専門職的自律性、バーンアウトの三尺度の相関を明らかにし、年令要因に焦点を当てることを目的とした。 2005年7〜9月に、都市と地方の4県5病院の看護職708名に横断質問調査を行い615の有効回答(回答率86.9%)を得た。 看護職アイデンティティは、看護専門職的自律性と有意な相関を示し、バーンアウトと有意な負の相関を示した。 看護専門職的自律性とバーンアウトは有意な関連を認めなかった。看護職アイデンティティは、年令、臨床経験年数、子どもの数、家族の数と有意な相関を示した。これらの結果から、看護職アイデンティティは40才までに確立され、以降の変化が起こりにくいことが示唆された。職業に沿う事は成熟と経験をもってなされ、看護職アイデンティティは時間をかけて臨床経験と仕事への関わりをとおして発達すると考えられる。
論文(PDF)を表示