山本 捷子1、谷岸 悦子1
1日本赤十字九州国際看護大学
本研究は、災害看護に関する日本赤十字社の基礎教育の実態と課題があるかを捉えるため、日赤系看護専門学校20校ならびに日赤系大学・短大を含む看護系大学19校を対象にした調査結果を考察したものである。 日赤系看護専門学校では、赤十字災害救護に役立つ人材の育成を目的に、「災害看護論」の名称で必修科目として設置されている。日赤系大学・短大では科目設定・方法は各校で異なっている。日赤以外の看護系大学で科目設定している大学は少なく、成人看護学や地域看護学、その他の科目の一部として教授されているところが多い。指導者や教授方法に困難さがあるためでもあるが、災害看護学として学問的確立やカリキュラムに位置づけることが課題とされている。 日赤系看護専門学校・短大では、教授方法の蓄積や日赤各県支部の救護体験者の指導協力も得られるため災害救護演習を含む教育ができる「強み」がある。しかし、卒後研修に繋げる学習内容の精選や災害看護学の学問的な確立は遅れている。卒後教育へ連動させるためには基礎レベルの明確化や特色ある看護学カリキュラム開発、継続性のある評価的な研究や指導者育成が望まれる。 |