日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2008
巻 :8
号 :1
頁 :1〜10

看護師の手洗い行動および認識とその「ずれ」に関する検討

山本 美紀1、休波 茂子1

1日本赤十字北海道看護大学

看護師の手洗い行動および認識とその間に生じる『ずれ』を明らかにするために、21名の看護師の看護行為と手洗い場面の参加観察と非構成的面接調査を行った。看護行為数は1,152回、手洗い行動は451回であった。手洗い回数は4〜47回(平均21.5回)、流水と石鹸による手洗いが最も多く60%以上を示し、その手洗い時間は5.0秒〜48.0秒(平均17.3秒)であった。各看護師の手洗い実施率は、2.0%〜75.7%で、看護行為の前に比べ、後の方が高かった。看護師の手洗いに対する認識については16項目抽出され、促進要因と阻害要因に分類された。看護師は手洗いの必要性や重要性を強く認識しながらも、看護行為場面での適切な手洗い行動の実施がみられず、手洗い行動と認識の間に『ずれ』が生じていた。看護師の手洗いコンプライアンスを向上させるために、個人的要因を考慮した多様および学際的な方策が必要であることが示唆された。
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