日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2008
巻 :8
号 :1
頁 :43〜50

新卒時に身につけておくべき看護技術レベルならびに新卒時の看護技術到達レベルの実際−新卒者自身の認識と臨床側の認識の比較−

松井 里美1、名村 かよみ1、柳原 典枝1、糟谷 緑1、芝山 富子1、柳 めぐみ1、樺山 たみ子1、中田 康夫2

1姫路赤十字看護専門学校、2神戸大学大学院医学系研究科

本研究は、(1)新卒時に身につけておくべき看護技術レベル、ならびに、(2)新卒時の看護技術到達レベルの実際、の2点に関して、新卒者自身と新卒者を受け入れる臨床側の認識を比較・検討することを目的とした。その結果、以下の点が明らかとなった。1点目として、新卒側と臨床側では新卒時に身につけておくべきであると考える看護技術レベルに関して、全81項目中73項目(90.1%)において有意差が認められ、多くの項目で新卒側のほうがより高いレベルが必要であると認識していたことから、この両者のズレを埋めていくことが新卒者の早期離職を予防する1つの方策となるのではないかと考えられた。2点目として、新卒時の看護技術到達レベルに対する新卒者自身と臨床側の認識を検討した結果、全81項目中74項目(91.4%)において、臨床側が新卒側に比べ看護技術の到達レベルを有意に低く認識していたことから、この両者のズレは新卒者の自尊心ややる気を阻害する要因になり得、新卒者の早期離職の原因の1つとなっているのではないかと考えられた。
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