大出 明美1、嘉手苅 英子2
1沖縄赤十字病院、2沖縄県立看護大学
臨床現場で行う心肺蘇生(以下CPRとする)シミュレーションには、単にCPRの手技など技術獲得に留まらない学習効果がある。また臨床現場は、日頃から緊急時の救命処置に対応する体制を整備し実施しているという状況にあることからCPRシミュレーションを行うことによってどのような学びがあるのかを明らかにし、学びの内容が看護管理上どのような意義があるのかについて検討した。対象は、過去8年間にCPRシミュレーションを体験したA病院の病棟看護師延べ174人である。分析の結果、臨床現場で行ったCPRシミュレーションからの学びとして、次の8項目が明らかになった。A.CPR状況に対応する技術の獲得、B.関係調整能力の向上、C.情報収集処理能力の向上、D.物品・環境管理能力の向上、E.危機管理能力の向上、F.モラルの高揚、G.部下・後輩の育成指導力の広がり、H.具体的実務成果。以上より、CPRシミュレーションは具体的なCPR状況に対応する技術の習得のみでなく、日々の看護実践を効率的・効果的に実施する上で必要な能力や看護師の自己成長を促す能力を高めていることが示唆された。 |