和田 美也子1、黒田 裕子2
1北里大学大学院 看護学研究科博士後期課程、2北里大学大学院 看護学研究科クリティカルケア看護学
術前化学療法を受けている乳がん患者の治療継続プロセスを明らかにすることを目的に、修正版グラウンデッドセオリーアプローチ法を用いて質的帰納的研究を行った。8名の研究参加者に対し、治療開始時から終了時まで、1人3回程度を目安に縦断的に半構成面接を行い、データを得た。分析の結果、参加者は『とりあえずの同意』『迷いながらの治療継続』『治療成果の引き受け』『自分に合わせた治療の仕切り直し』の4つの局面を移行しながら術前化学療法を継続していることが見出された。参加者は【先行きの懸念】、【日常生活の揺らぎ】、【抗がん剤効果の可視化】などで各局面において治療への納得の程度を一時的に下げるが、【専門家への追従】、【抗がん剤効果の模索】、【譲れないものの明確化】、【抗がん剤成果の消化】、【術前化学療法継続への順応】、【手術移行に向けた検討】などの対処を行い治療への納得を深めながら治療を継続していた。そして参加者はこの対処の繰り返しを経て、治療や生活における主体性を高めていた。看護者は患者が遭遇する各局面の出来事や治療への納得の程度を把握し、患者自身が主体的に対処できるような支援を行う必要がある。 |