日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2010
巻 :11
号 :1
頁 :9〜18

急性期病棟における中堅看護師の新人看護師に対する助言・指導の構造

柳澤 美香1

1前橋赤十字病院

 目的:急性期病棟で同一勤務帯に働く中堅看護師(以下、中堅と称す)の新人看護師(以下、新人と称す)への助言・指導の構造を明らかにすることであった。 方法:データは、22名の中堅と12名の新人を対象にした参加観察と、18名の中堅への半構成的面接の2つの手法で収集し、KJ法により分析した。 結果:中堅は新人に、6つの状況で、 7つの根拠に基づいて、11の助言・指導内容からなる7つの助言・指導方法を用いて助言・指導を行い、中堅の助言・指導は11の新人の反応をもたらしていた。また、中堅の新人への教育的関わりの5つの動因も見出された。 まとめ:急性期病棟において、新人が一人ひとりの患者を全体的にとらえて安全なケアを提供するために、中堅は、臨床経験に基づいた知識を理論の知識を織り交ぜて伝達する、勧めるという言語的・非言語的促しにより診療補助業務を経験させる、潜在能力を育成する機会に気づき助言・指導を行うといったことに留意する必要があると考えられた。同時に、各々の組織に息づいてきた看護の価値・伝統を助言・指導により新人に伝えていく必要性が示唆された。
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