日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2014
巻 :14
号 :1
頁 :33〜40

出生前検査に関する遺伝相談を受けた妊婦の経験−遺伝学的検査に係る看護の一考察−

森屋 宏美1

1東海大学健康科学部看護学科

 本研究は、出生前検査に関する遺伝相談を受けた妊婦の経験を記述し、遺伝学的検査に係る看護について示唆を得ることを目的とした。出生前検査に関する遺伝相談を受けた12名の妊婦に対し、電話による半構造化面接を行い、解釈学的現象学的分析を行った。出生前検査に先駆け、看護師による相談窓口に訪れない妊婦の背景には、胎児情報を得ることに前向きであること、受検をしないという選択肢を意識していないこと、結果を聞いた後のことを想定していないこと、迷いながらも自律的意思決定ができたことがあった。実際の相談では、検査結果の解釈、体質の影響、今後の選択肢に関する情報が求められ、かつ受検を検討する目的で、看護師との対話が行われた。出生前検査に関わる支援が、広く社会に認識されるよう望む声もあった。本研究より、遺伝学的検査に係る看護には、受検を計画的に検討するための調整及び、意思決定への積極的関与が必要であることが示唆された。
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