日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2016
巻 :16
号 :1
頁 :17〜24

特別養護老人ホームにおける看取りケアに関する文献検討 −看護職による看取りケアと入居者・遺族の体験−

内山 孝子1

1日本赤十字看護大学大学院博士後期課程

 本稿の目的は、特別養護老人ホームの看取りケアの実践内容と、その受け手である入居者と家族の体験 を明らかにすることである。 結果、看護職は看取りを前提に入居者を受け入れ、食事摂取状況や皮膚がきれいになってゆくことなど から看取りが近いことを判断、特養で看取れるかを判断、医師の協力を得る、介護職を支えながら家族が ケアに参加できるよう調整、これまでの生活を継続する援助を提供することで入居者と家族が希望する安 らかな死を支援することを重視していた。 入居者は、家族や人とのつながりを大切に穏やかに過ごしたいと願い、日常の会話の中で入居者が希望 する死を表現する可能性を示唆していた。家族は、特養での看取りを決断することに葛藤を抱きつつ、特 養を看取りの場所に選んでいた。看護職が安心できるケアを入居者と家族に提供することで、家族は特養 に看取りを任せたい、看取りを行ってよかったと考えるようになっていた。
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