和久 紀子1
1首都大学東京大学院人間健康科学研究科看護科学域
【背景と目的】広汎子宮全摘手術を受けた人の多くは術後合併症として排尿障害を体験するが、時にそのことの訴えや相談を医療者にもしなくなる。故に、本研究では体験者の立場に立ち、体験者がこれらの排尿障害の体験をいかに医療者へ語らなくなっていくのかを記述することを目的とした。【方法】現象学を哲学的基盤とした質的記述的研究であり、参加観察法と非構造化面接法で収集したデータを西村の現象学的看護研究方法を参考に分析した。【結果及び考察】「おしっこ」の問題を排尿機能の問題と捉える見方やがん治療を優先とする医療者の考え方が、体験者が語らなくなっていくことに関与していることが示された。故に、体験者が「おしっこ」に関わることを語れるようになるには、医療者が自分の見方や考え方や経験を問い直すことが必要と考えられた。そして、体験者に「おしっこ」の現実を尋ね、その人から語られたことの意味を考え続ける姿勢が必要と考えられた。 |