日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2017
巻 :17
号 :1
頁 :53〜59

訪問看護における在宅感染予防の実践状況と実践できないケアの理由

柄澤 邦江1、安田 貴恵子1、中林 明子1、伊藤 みほ子2、高橋 光子3

1長野県看護大学、2下伊那赤十字病院、3諏訪赤十字訪問看護ステーション

本研究の目的は、訪問看護師の在宅感染予防の実践状況と実践できないケアの理由を明らかにすることである。A地域の全21か所の訪問看護ステーションに勤務する訪問看護師121名を対象者に無記名自記式質問紙調査を行い、111名の回答を分析した。在宅感染症予防研修会の受講率は47.7%であり、常勤が非常勤よりも有意に多く受講していた。職場の在宅感染予防マニュアルを活用したことがある者は64.3%であった。清潔操作や自分の健康管理は実践できていたが、訪問準備や手指衛生などは実践できていなかった。実践できないケアの主な理由は、【自分自身の知識・技術】と【訪問先の家庭の事情】であった。これらのことから、A地域においては、非常勤職員への研修受講の配慮とマニュアルの実践的活用の検討の必要性が考えられた。また、現状では実践できないケアに対する方策として、訪問看護経験5年以上と研修未受講者に対するスタンダードプリコーションの実践の促進、家庭の事情に配慮した適切なケアの検討、感染防御に関する課題の共有および職場環境の整備の必要性が考えられた。
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