日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2019
巻 :19
号 :1
頁 :37〜48

中堅看護師が職務継続の危機を乗り越えるプロセス

小手川 良江1、本田 多美枝1

1日本赤十字九州国際看護大学

 本研究は,中堅看護師が職務継続の危機を乗り越えるプロセスを明らかにすることを目的に,経験年数10 年目以上の看護師5 名に半構成的面接を行い,質的に分析した. 中堅看護師は【仕事の負担や人間関係などの職場環境の揺らぎ】【家庭や育児環境の揺らぎ】【仕事や育児の価値観や自己概念の揺らぎ】がきっかけとなり,職務継続の危機に陥っていた.このような職務継続の危機に対して,【支援と自己の力で危機的状況を緊急回避する】ことによりいったん危機的状況を回避することが【仕事の負担や人間関係などの職場環境の揺らぎ】の調整につながった.また,【支援と自己の力で危機的状況を緊急回避する】ことによる負担軽減が,【支援により育児環境が安定する】【周囲からの支援に気づく】【看護に対する意欲や興味を思い出す】ことにつながり,3 つの揺らぎが調整された.これらの結果,次は自分が支援をしたいという考えや自分も頑張りたいという気持ちが芽生え【キャリアビジョンを再構築】することにつながり,職務継続の危機を乗り越えていた. 以上より,中堅看護師の内在する力を活かす支援が,キャリア発達の中断を防ぐために重要であることが示唆された.
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