新田 純子1、下平 唯子1、矢野 和美2
1日本赤十字秋田看護大学、2国際医療福祉大学大学院
本研究の目的は,がん患者への就労支援の内容と時期について,がん相談に従事する看護師による実践状況およびその困難の実態を明らかにすることである.がん診療連携拠点病院426施設において,主にがん相談に従事する臨床経験6年以上の看護師を対象として2017年5月に質問紙調査を実施し,106名(回収率24.9%,有効回答率100%)の回答を得た. 「就労先との就労可否の判断の調整」「就労先との情報共有」は,看護師の約9割が実践していないにもかかわらず,困難を感じる割合が約9割と高かった.この困難の程度は就労支援マニュアルの有無と有意差があった.「進行・再発・転移時」「緩和ケア移行時」「身体状況変化時」の時期に,困難を感じる割合,程度ともに他の項目より高かった.身体状況変化時の困難の程度は専門看護師(CNS)・認定看護師(CN)の有資格者で有意に低かった. 就労支援マニュアルは就労先との連携におけるよりどころとなる.CNS・CNのケアの成果に対する確信や自信は,身体的経過の見通しが不確かな時期に先を予測した就労支援の困難感を低減する. |