日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2020
巻 :20
号 :1
頁 :116〜121

血液透析療法を導入した患者の移行 ーMeleisの移行理論を分析枠組みとした文献検討ー

木村 美香1

1群馬県立県民健康科学大学

 Meleisの移行理論を分析枠組みとして,日本語文献3件,英語文献8件の文献検討を行い,血液透析療法を導入した高齢患者の移行を捉えた. 当該患者の移行は,血液透析療法を要する状態までの病期の進行,血液透析療法導入に伴う自己イメージとライフスタイルの変化により生じ,これらの移行は,連続して,時には同時に起こり,相互に関係していた.移行は,当事者以外の存在によって促進され,患者が血液透析療法に関して見通しを持てないことにより妨害されていた.当該患者は移行に対して,適応を示す一方で,自己コントロールの喪失により,よい死を切願するなど,不適応を示すこともあった.当該患者が,血液透析療法に至るまでの病期の進行,血液透析療法導入に伴う自己イメージとライフスタイルの変化について見通しを持てるように,看護師がケアを提供する必要性が推測された. 当事者以外の存在としての看護師がどのようなケアを提供すれば,当該患者が血液透析療法に関して見通しを持つことができるのかを明らかにする必要性が示唆された.
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