日本赤十字看護学会誌オンラインジャーナル


年度:2021
巻 :21
号 :1
頁 :37〜44

不妊治療を受けている女性による「治療の場」に関する経験

北井 喜美恵1

1東京都立大学人間健康科学研究科看護科学域博士後期課程

 本研究は,不妊治療を受けている女性が,「治療の場」に我が身を置くことにおいて,どのような経験をしているのかを明らかにすることを目的とした質的記述的研究である.不妊治療の経験がある女性6 名に各1回ずつインタビューをした結果,【敷居が段々低くなり,いつの間にか巻き込まれていく】と【周囲を気にしながらじっと待つ】の2 つのコアカテゴリーが導き出された. 彼女らは,初めて不妊治療を受診する際,「治療の場」に足を踏み入れづらい敷居の高さを捉えていた.しかし,その「敷居の高さ」は,通院を繰り返すうちに段々低くなり,次第に行かずにはいられないほど「治療の場」に巻き込まれていった.また彼女らは,待合室で周囲を気にかけながらじっと待つ経験をしていた.よって,不妊当事者が望むタイミングで,“これまで”や“これから”について自由に語れる場を,看護師が提供することは,看護実践の一助となると考えられる.
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