岡本 明子1
1昭和大学保健医療学部看護学科
研究目的は,高齢の脳卒中患者を看る妻が,在宅に移行して夫婦だけで生活する中でどのような体験をしているのか,レジリエンスに焦点を当てて報告することである.研究方法は質的記述的デザインで,自宅に複数回訪問し参加観察とインタビューでデータ収集した.研究参加者は,脳卒中の夫を3〜5年程度看ている60 歳代後半〜80 歳代前半の妻だった. 研究参加者のレジリエンスは「夫を失うかもしれない苦悩に立ち向かう」「自分のペースを取り戻す」「障害を負った夫を一人で看ない」「元の夫を取り戻す」「無我夢中で何年か過ごした」「夫を看る責任感を強くもった」「限界を感じても奮い立たせる」「一人で闘うしかないと覚悟した」「夫の主張に振り回されない」であった. 以上の結果から,研究参加者は,培ってきた経験をもとに,困難を乗り越え自分らしさを取り戻していた.しかし,限界があっても介護を続けようとするレジリエンスが孕む危うさがあった. |