第52回日本腎臓学会西部学術大会


登録番号:20118
演題番号:O-173
発表日:2022/11/19
時刻:09:00〜10:00
会場:第7会場
発表セッション記号:44
発表セッション名:ネフローゼ-糸球体沈着症
発表セッションサブタイトル:
座長名:塚本 達雄、
座長所属:北野病院腎臓内科、

質量分析によって診断し得たLHCDD with focal amyloidの一例

島本 侑樹1、高橋 直生1、西川 翔1、西森 一久1、森田 紗由1、西川 雄大1、小林 麻美子1、松井 佑樹2、福島 佐知子1、伊藤 正典2、加藤 修明3、糟野 健司1、岩野 正之1

1福井大学腎臓内科、2福井赤十字病院腎泌尿器科、3信州大学第三内科

【症例】78歳女性【現病歴】3か月前から両下腿浮腫が出現し、近医で利尿薬を処方されていた。尿蛋白5 g/gCr、血清アルブミン 2.8 g/dLを認め、ネフローゼ症候群と診断した。腎生検にてメサンギウム領域に多量の沈着物を認め、IFではIgAとκが強陽性であった。戻し電顕では径10-15 nmの線維状沈着物を認めた。Congo red染色で沈着物の辺縁部に偏光下でわずかに複屈折を認めた。質量分析を行ったところκ鎖定常領域とIgA定常領域の沈着を認め、軽鎖重鎖沈着症(LHCDD) with focal amyloidと診断した。その後D-CyBorD療法を導入した。【考察】LHCDDとアミロイドーシスはいずれも免疫グロブリン由来のタンパク質が腎臓に沈着する病態である。その区別は時に困難であるが、沈着物の評価に質量分析が有用である。本症例はCongo red染色弱陽性で、沈着物の大部分はアミロイド線維でないと考えた。質量分析で多量のκ鎖定常領域が検出され、アミロイドとしての高次構造をとりにくい状態であったと考えられた。免疫グロブリン沈着症にアミロイドの共沈着を認めた症例は非常に稀で、質量分析を行えた症例はこれまでにないため報告する。